CHOETECH(チョーテック)製、Quick Charge 3.0対応の「50W 6ポートUSB急速充電器 Q34U2Q」をご提供いただきました。
これまでCHOETECH(チョーテック)という社名は聞いたことありませんでしたが、ワイヤレス充電や急速充電(Quick Charge)に対応した先鋭的な製品を作っている中国の会社のようです。設立が2012年ということなので比較的新しい会社です。
普段は急速充電とは無縁な1口のUSB電源アダプターから充電しているので、6つのUSBポートを搭載し、急速充電に対応した本製品は非常に興味深いです。
CHOETECH 50W 6ポートUSB急速充電器 Q34U2Q
「CHOETECH 50W 6ポートUSB急速充電器 Q34U2Q」は、急速充電規格のQuick Charge 3.0に対応したスマホやタブレットなどを通常よりも短時間に充電が可能になる製品です。
本製品の仕様を確認する前に、Quick Charge 3.0の特徴を確認してみます。
Quick Charge 3.0の特徴
Quick Chargeは、Qualcomm(クアルコム)が開発したスマートフォンやタブレットなどを高速に充電する規格で、Quick Charge 3.0は昨年9月に発表された第三世代の規格です。
Quick Charge 3.0では、最新のアルゴリズム「Intelligent Negotiation for Optimum Voltage(INOV)」の実装により、デバイス側は3.6から20Vの範囲内で200mV毎に利用する電圧を自由に設定(これまでは5V、9V、12V)できるようになり、さらに充電効率が改善されました。
電力損失を最大45%削減されたことでQuick Charge 1.0に比べて最大2倍、Quick Charge 2.0に比べて最大で38%充電効率がアップ、充電速度はQuick Charge 2.0の最大27%高速化されています。
また、上位互換でQuick Charge 1.0やQuick Charge 2.0対応機種でも利用が可能です。
但し、Quick Chargeに対応したQualcomm Snapdragonを搭載するスマートフォンなどの機器でないと、Quick Chargeの恩恵が受けられないのが受けられません。
製品仕様
入力 | 100-240V 50-60Hz 1.1A |
---|---|
合計出力 | DC 5V/9V/12V 50W |
Smart Port出力 | DC 5V 2.4A(Max) |
Quick Charge 3.0出力 | 3.6V-5.5V 2.4A(Max) 5.6V-9V 2A(Max) 9.1V-12V 1.5A(Max) |
USBポート数 | 6ポート |
サイズ | 88.4×71.5×29.0mm |
重量 | 158g |
製品の特徴
- Qualcomm Quick Charge 3.0準拠(Qualcomm認証済み)
- USB 6ポート搭載、同時最大6台充電可能
- Quick Charge 3.0を2ポート、Smart Portを4ポート搭載
- 接続機器を自動検知し、最適なスピードで急速充電
- Quick Charge非対応機器でも急速充電
- コンパクト設計
Qualcommの認証を受けたQuick Charge 3.0に準拠した6ポートUSB急速充電器です。
6つのUSBポートの内、Quick Charge 3.0に対応しているのは2つ搭載されている青いUSBポートです。Quick Chargeに対応(Quick Charge 1.0-3.0)する機器の場合、この青いポートに接続します。
Smart Portと呼ばれる残り4つのUSBポートは、Quick Chargeに非対応の機器を接続する場合に利用します。このSmart Portは、Quick Chargeに非対応の機器でもPowerIQのように5Vの定格電圧で最適な電流(最大2.4A)で充電してくれます。
つまりは、Quick Charge対応機器に対しても、非対応機器に対しても最大6台同時に急速充電可能してくれるという特徴があります。
製品を手にした印象
CHOETECH 50W 6ポートUSB急速充電製品は、タバコの箱を1回半くらい大きくしたほどの非常にコンパクトなサイズです。マットな質感で非光沢な主張しないボディなので、どこに置いても違和感がないかもしれません。
製品を手にすると非常にきちんと作られているなと感じ、PSEマークの付いたケーブルが付属していたり、中国製品に持たれている粗悪なイメージとは遠い製品だと感じます。
製品の質感などについては、amazonのレビューを見た方が参考になると思うので簡単に済ませます。
製品の使用感
基本的な製品仕様を確認したので、続いて製品の性能を調べてみます。
使用機器
今回のレビューで使用した機器です。
- 50W 6ポートUSB急速充電器 Q34U2Q(本製品)
- Xperia Z3 Compact SO-02G(スマホ)
- Xperia Z3 Tablet Compact SGP611(タブレット)
- Apple 12W USB電源アダプタ(従来の充電器)
- 700-TAP017(ワットモニタ)
- RT-USBVAC3QC(USB電圧・電流測定器)
QC3対応の本製品なのでQC3対応の機器で評価したかったのですが、持っていないのでQC2対応のXperia Z3 Compact SO-02GとXperia Z3 Tablet Compact SGP611を利用しました。
RT-USBVAC3QCはUSB機器に供給される電圧・電流を測定するQC2対応の製品です。
待機電力は1W未満
まずUSB機器を何も接続していない状態で700-TAP017に接続し、消費電力を計測してみました。結果は0Wで、これは700-TAP017が1W未満を計測できないため計測ができなかったという結果です。
実際の消費電力が計測できなかったのは残念ですが、機器を何も接続していない待機状態なら電力をほぼ消費しないというということが確認できたので安心して電源に接続したまま放置しておけます。
急速充電器と従来の充電器との違い
急速充電器と従来の充電器では、どれほど充電速度に違いがあるか確認してみます。
アプリでバッテリ残量をモニタリングしたかったので、バッテリ残量1%の状態(電源ONの状態)から充電を開始した時の状況です。QC3対応ポートに接続して充電しています。
左が本製品(急速充電器)、右が従来の充電器で充電した時のグラフです。
50%までの充電は本製品が45分、従来の充電器が1時間10分くらい、フル充電まで本製品が2時間10分、従来の充電器が3時間かかりました。
本製品で充電すると従来の充電器より30%ぐらい早く充電されるようです。
QC3対応ポートで充電
本製品で充電した時の状況を詳しく見ていきます。
スマホをQC3対応ポートに接続して充電した時の電圧、電流の状況などを5分毎に記録しました。こちらもバッテリ残量1%からの計測です。
経過時間 | 電圧 | 電流 | 積算電流値 | バッテリ残量 |
---|---|---|---|---|
5分後 | 8.93V | 1.01A | 75mAh | 5% |
10分後 | 8.93V | 1.02A | 161mAh | 10% |
15分後 | 8.93V | 1.04A | 246mAh | 16% |
20分後 | 8.93V | 1.04A | 333mAh | 22% |
25分後 | 8.93V | 1.05A | 420mAh | 28% |
30分後 | 8.93V | 1.06A | 508mAh | 34% |
35分後 | 8.93V | 1.06A | 597mAh | 40% |
40分後 | 8.93V | 1.07A | 686mAh | 46% |
45分後 | 8.93V | 1.08A | 776mAh | 52% |
50分後 | 8.93V | 1.09A | 867mAh | 57% |
55分後 | 8.93V | 0.77A | 941mAh | 62% |
60分後 | 8.93V | 0.77A | 1006mAh | 67% |
65分後 | 8.93V | 0.78A | 1071mAh | 71% |
70分後 | 8.93V | 0.76A | 1137mAh | 75% |
75分後 | 8.93V | 0.62A | 1193mAh | 79% |
80分後 | 8.95V | 0.47A | 1238mAh | 83% |
85分後 | 8.95V | 0.44A | 1276mAh | 86% |
90分後 | 8.95V | 0.33A | 1307mAh | 89% |
95分後 | 8.95V | 0.26A | 1332mAh | 91% |
100分後 | 8.95V | 0.28A | 1352mAh | 92% |
105分後 | 8.96V | 0.25A | 1368mAh | 95% |
110分後 | 8.96V | 0.18A | 1379mAh | 97% |
115分後 | 8.96V | 0.08A | 1389mAh | 98% |
120分後 | 8.96V | 0.01A | 1395mAh | 99% |
電圧は終始ほぼ変わらず8.93-8.96V、電流は開始から50分過ぎまで1.01-1.09Aまで増加してた後、徐々に減少していきます。充電残量98%付近からは電流が0.1A以下で充電速度はかなりゆっくりになり、最終的に電流が0Aになり充電が完了します。
バッテリは45分で52%、120分で99%充電されました。電流が50分過ぎから下がりだすので0-60%くらいまでが充電効率が良く、100%近辺では電流がかなり少なくなり充電効率はかなり落ちるようです。
99%到達から10分くらいで100%に達しますが、時間だけかかっている感じだったので掲載は120分間までにしています。
電圧が約9Vなので急速充電されていることが確認できますが、電流が1Aしか流れていないことに少々疑問が残ります。タブレットを接続すると1.4-1.5Aとか出ていたので接続する機器による違いがあるのかもしれません。
左が本製品(QC3対応ポート)、右が従来の充電器で充電した時のグラフです。
本製品では開始直後から勢いよく充電が進み、緩やかなカーブを描きながら充電されている状況が確認できます。一方で、従来の充電器は開始から95%付近まで一本調子で充電が進み、100%付近になると充電速度が急速に落ちています。95%付近まで電流が常時1Aの電流が流れていました。
電流を変化させながら充電する従来の充電器とは異なる様子が確認できましたが、このあたりがQC2による充電の効果なのかもしれません。
QC3だと電圧を200mV毎に自由に設定(QC2だと5/9/12V)するようなので、また違った結果がみられるかもしれません。いつかQC3対応の製品で試してみたいものです。
Smart Portで充電
Smart Portで充電するのとQC3対応ポートで充電するのとで違いが出るのか確認してみました。
左がQC3対応ポート、右がSmart Portで充電した時のグラフです。
QC3対応ポートでは電圧9V、電流1A(後に減衰)で充電、Smart Portでは電圧5V、電流1.5A(後に減衰)で充電とかなり異なる状況で充電されましたが、同じようなグラフの形状をしています。Smart Portでもコントロールされながら充電されていのがわかります。
QC3対応ポートを利用した方がグラフの形状(特に開始付近と終了時付近)が綺麗なので、QC3対応ポートではより上手にコントロールされて充電がなされているのではないかと思います。
それにしても電圧を上げるか、電流を上げるかという異なるアプローチの充電方法ですが、充電時間、充電状況にほとんど変わりがないというのに驚きです。
QC3対応ポートを2つ同時に充電
本製品にはQC3対応ポートが2つ搭載されているので、スマホとタブレットを同時に充電してみました。
左がスマホ、右がタブレットです。スマホとタブレットでグラフのスケールが違って見辛いのはご容赦ください。
スマホのバッテリ容量は2,500mAh、タブレットのバッテリ容量は4,500mAhとずいぶん容量に違いがあるにも関わらず、どちらもほとんど同じ時間でフル充電されているのに再び驚かされます。
タブレットではスマホより電流が多く(電圧は9Vで同じ)流れていたので同じ時間でも多く充電された訳ですが、Quick Chargeでは電圧・電流が既定の範囲内であればバッテリ容量に関係なく同じような時間推移で充電されるのかもしれません。これについては別の機会に調べてみたいと思います。
ここでは1台で充電した時と2台で充電した時で違いがあるか確認したかったのですが、1台で充電した時と2台で充電した時では充電性能が落ちてないことが確認できました。
ただし、2台の充電中の消費電力が18Wくらいまで上昇したのですが、6ポート全部で充電したすると単純計算で18Wの3倍の54Wで50Wを超えてしまいます。各ポートの出力を考えても最大だと50Wを超えてしまうので、大容量バッテリなどを同時に充電すると充電効率が多少なりとも落ちるかもしれません。
これについては実際に調べてみないとわかりませんが、充電後半での消費電力はかなり下がるので、空の大容量バッテリ搭載機器を6台同時に充電する状況とか個人ではまず無さそうなので、あまり神経質に考える必要はないかもしれません。
他社製品だと6ポート搭載でも40Wくらいの出力しかなかったりするので、むしろ本製品の50Wは多い方なのかもしれません。QC2対応だった前モデルは60Wあったのに、なんで下がったんでしょう。
まとめ
フル充電したスマホのバッテリを1%まで消費するのに四苦八苦したレビューでしたが、本製品はQC対応製品でもQC非対応製品でも効率的な充電が可能で、2台の接続でも効率が落ちることなく充電が可能なことが確認できました。
また、本体は非常にしっかりした作りで、コンデンサの音鳴きなどの気になる箇所も無く、まだ短い使用期間ですが普通に使用できています。
長期に利用する製品なので耐久性についても気になるところですが、本製品は18ヶ月のメーカ保証があるのでしばらくは問題なさそうです。
メーカーの中国人担当者の方とのメールでのやり取りもレスポンスが早く対応も丁寧、且つ日本語でのやり取りも全く問題なかったので製品サポートも大丈夫ではないでしょうか。個人的には非常に好感が持てました。
急速充電器ならPowerIQのAnkerとの選択になりそうですが、Quick Charge対応機器を充電するならCHOETECH製品も選択肢に入れてもいいかもしれません。
この多機能LEDライト充電式懐中電灯が非常に気になります。
電圧・電流の測定に利用したUSB電圧・電流測定器です。